なぜ?むし歯治療したのにまた痛い…「二次カリエス」のサインと見つけ方| #1

「むし歯の治療が終わって安心していたのに、数年後に同じ歯が痛くなった…」 「レントゲンを撮ったら、銀歯の下で大きなむし歯ができていた…」
せっかく時間と費用をかけて治療した歯が、再びむし歯になってしまう。これは、患者さんにとって非常につらい経験だと思います。実は、一度治療した歯が再びむし歯になることは、決して珍しいことではありません。
この現象は「二次カリエス(にじカリエス)」と呼ばれます。
この記事では、歯の専門家である私たちが、以下の点について分かりやすく解説します。
- ・なぜ治療した歯が、またむし歯になるのか?
- ・気づきにくい二次カリエスのサインとは?
- ・歯の寿命を縮めないための、今日からできる予防法
「もうこれ以上、歯を削りたくない」「自分の歯を一生大切にしたい」と願うすべての方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
そもそも「二次カリエス」とは?
二次カリエスとは、むし歯治療で詰めた「詰め物(インレー)」や「被せ物(クラウン)」の隙間や境目から、再びむし歯菌が侵入して歯が溶かされてしまう状態のことです。
どんなに精密に作られた詰め物・被せ物でも、お口の中の過酷な環境(温度変化、噛む力、酸など)に長年さらされることで、歯との間にごくわずかな隙間ができてしまうことがあるのです。そのミクロの隙間からむし歯菌が入り込み、中で静かにむし歯が進行していきます。
これが二次カリエスの正体です。特に銀歯などの金属は、歯と接着剤でつけているだけなので、年月が経つと接着剤が溶け出し、隙間ができやすい傾向があります。

なぜ二次カリエスは起きてしまうのか?4つの主な原因
では、なぜ詰め物と歯の間に隙間ができてしまったり、そこからむし歯が進行してしまったりするのでしょうか。原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っています。
原因1:詰め物・被せ物の経年劣化
お口の中は、私たちが思う以上に過酷な環境です。
- 温度の変化:熱いものと冷たいものを交互に食べることで、詰め物や歯が膨張・収縮を繰り返します。
- 強い力:食事や歯ぎしりによって、毎日非常に強い力がかかります。
- 酸:食べ物やむし歯菌が出す酸に常にさらされています。
このような環境下で、詰め物・被せ物そのものや、歯とくっつけている接着剤が少しずつ劣化していきます。その結果、目に見えないほどの小さな隙間や段差が生まれ、むし歯菌の温床となってしまうのです。
原因2:毎日のセルフケア不足
二次カリエスが最もできやすいのは、「詰め物と歯の境目」です。この部分は、天然の歯と比べてどうしても汚れが溜まりやすい段差になりがちです。
- 歯磨きの際に、この境目を意識して磨けていない
- デンタルフロスや歯間ブラシを使っていないため、歯と歯の間の汚れが残っている
こういったセルフケアの課題があると、境目に残ったプラークの中でむし歯菌が繁殖し、二次カリエスのリスクが飛躍的に高まります。ご自身では「しっかり磨けている」と思っていても、磨き癖によって特定の場所に汚れが残っているケースは非常に多いのです。
原因3:食生活などの生活習慣
むし歯のリスクは、食生活と密接に関わっています。
- 糖分の多い間食をダラダラとる
- ジュースやスポーツドリンクを頻繁に飲む
このような習慣があると、お口の中が酸性の状態にある時間が長くなり、歯が溶けやすい環境(脱灰)が続きます。これは、治療した歯であっても同じです。特に、詰め物の周りは酸の影響を受けやすく、二次カリエスの進行を早めてしまいます。
原因4:かみ合わせの変化
年齢とともにかみ合わせは少しずつ変化します。治療した当初はぴったり合っていても、年月が経つにつれて特定の部分に過度な力がかかるようになることがあります。
その結果、詰め物が欠けたり、歯との間に隙間ができたりして、二次カリエスのきっかけになることもあります。
ご自身の歯のことで気になる方はお気軽にスタッフにご相談ください。
次回のブログでは、二次カリエスの予防や対策についてご案内させていただきます。
監修者

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帆足 卓眞(ほあし たくま)|歯科医師
- 出身大学 福岡歯科大学
- 職歴
- 2020年 久留米大学病院 歯科口腔外科
- 2022年 直方市内の歯科医院
- 2024年 医療法人シルキーライフ つつみ歯科医院 勤務
- 所属学会 一般社団法人 日本老年歯科医学会 会員





















